足のお悩み百科

雪国育ちが教える「雪道、凍結した道の歩き方」~慣れてない人の為の7つのポイント~

この記事の監修者

株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士

靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会

寒さ厳しくオリンピックも近くなり、冬将軍の到来です。関東では大雪で交通機関が麻痺。転倒してけがをしている人も多数とニュースで報じられました。
実は、私は北海道出身で子供の頃、東京で雪が降るとすぐに学級閉鎖や休校になったりするのを、不思議に思うのと同時に、羨ましく思っていました。でも、これは仕方ないですね。装備が違うのですから。
北海道では秋口になると、踵に切り替え式のスパイクがついた長靴を買ってもらっていたことを、懐かしく思い出します。

では、雪国育ちの私が、雪道に慣れていない方向けに、歩き方のコツを伝授したいと思います。

①歩幅は小さく!

感覚でもわかると思いますが、大股で強く蹴り出そうとする場合しっかりと足裏で地面を捉える力が必要です。雪に慣れてない方や装備の不十分な方は、普段よりも歩幅を小さく歩くことで地面を捉えやすくなります。特に、急な雪で電車も遅れているという時など、ついつい急いで大股になりがちですから、注意してください。

②ASIMOのように、足裏全体を使って歩こう!


足裏全体で歩くと言われてもイメージしにくいかもしれませんが、蹴り出して歩くというよりは、膝を持ち上げて前に運ぶ感じで。一歩一歩、足の裏に重心位置が来るように踏みしめるような歩き方だと転倒しにくいようです。
ちなみにこれは、ZMP(ゼロモーメントポイント:ロボットにかかる力と床面とが交わる点)をなるべく体の重心に近いところに置き、足裏から外れない様にするASIMO等の歩行ロボットの制御方法と一緒です。

普通の歩き方と雪道の歩き方

③両手はフリーに!

雪道に慣れた道産子でも、テカテカと固く氷っているところでは、手でバランスを取りながら歩きます。この時、手に何か持つことでバランスがとりにくくならない様に荷物は肩にかけるか、背負う方がよいと思います。経験談ですが、どうしても荷物を持たなくてはならない時は、無意識に極力滑らないところを探しながら歩いているような気がします。まして慣れてない方が、スマホを操作しながら歩くなんて!論外です。

④急な動きはしない!

車と一緒ですが、人も、急発進・急停車・急な方向転換は、厳禁です。
滑らないところから滑りやすいところへ移動するときも要注意! 速度を緩めて、足元の滑り具合を確認しながら歩いてください。お店や建物から出て直ぐに転んでしまうのは、このため。歩き出す前に、路面の変化をしっかり見極めるようにしましょう。

⑤傾斜に逆らわない!

①傾斜がない道 ②平らな道

普段なら気にならない微妙な傾斜でも、雪道では滑ることがあります。
駐車場やコンビニの入り口など傾斜しているところは横切ると危険。通過するときは①のようななるべく傾斜がないところか、②の様に平らなところにおりて通過する方が安全です。(②は本来、道路交通法上お勧めできませんが、どうしても通ることができない場合は、付近に車がいないことを十分に確認の上、通ってください。)
また、交差点も微妙な傾斜があるので気を付けてください。

⑥交差点では、通ってはいけないところを理解する!

通ってはいけないところ①〜⑧

注意が必要なのは交差点。気を付けなければいけない路面状況は6つあります。

1>①、②交差点の角は、傾斜がある場合もありますし、みんなが通るので雪も踏み固められ滑りやすくなっています。信号待ちの際も転倒の恐れがあるので、渡る前でも気を付けましょう。

2>③圧雪された車道の上に雪や氷が点在している場合は、なるべく氷を避けて雪がかぶっている部分を歩きましょう。但し、滑りやすい路面の上に軽く雪が乗っているだけ場合もあり、この場合は滑りやすく危険ですので、2歩目くらいまでは慎重に路面を確認しながら歩いてください。

3>④車によって圧雪された交差点付近の路面は、非常に滑りやすいので慎重に。

4>⑤車道側が踏み固められて圧雪もしくは氷のような路面になっている場合は、極力、車道と反対側を歩きましょう。雪が踏み固められてない部分が残っていると思いますので、あえてそこを選んで歩いた方が転倒しにくいと思います。

5>⑥圧雪された路面が轍(ワダチ)になり、さらに水たまりのような状態の場合は、長靴を履いていない限りは通らない方がよいと思います。迂回してください。

6>⑦⑧の様に、圧雪されてない雪が路面に残っている場合、あえて私はそこを通ります。但し、③でも説明しましたが、滑りやすい路面の上にうっすら雪が乗っているだけの場合もあるので、そこは注意してください。

⑦転ばない履物を選び、転んでも良い格好をする!

靴選びでは、雪道では登山靴やトレッキングシューズの様に靴底がゴツゴツしたものがあれば、それを履くのがベストです。どうしてもという方は、せめてヒールの低いレインブーツを履いてください。パンプスは、無謀としか言いようがありません。仕事上、必要な場合は現地で履きかえるこようにしましょう。

首都圏など年に数回は雪が降るような地域に住んでいる方は、1足は雪用の靴を用意しておくことをおすすめします。そのためにわざわざ買うのはもったいないという方は、そろそろ買い替えかな?というようなヒールの低いブーツ等を捨てずに再利用。靴底にすべり止め(靴屋さんなどで売っている市販のもの)を貼っておくと、いざというときに使えます。

ちなみに、スニーカーなら大丈夫だろうという方が多いのですが、普通のスニーカーでは滑ります。
ビブラムソール(がっしりと床面を捉えるソール)のスニーカーなら別ですけど、カジュアル系のスニーカーは場合によっては、革靴より滑りますので気を付けてください。

また、どんなに気を付けても、転ぶときは転んでしまいます。そこで、パンツ系の服装で、厚手のものを着て、手袋をして、帽子をかぶる。こういった格好をしていれば、転んでも怪我になりにくいので、雪国の人の転倒事故がニュースにならないのはこういう違いがあるかもしれません。

転びにくい履物の図

もうワンポイント!

子供たちや、高齢の方の靴えらび

お子さんや、高齢者の方は基本的には、滑り止めのついた長靴以外は履かない方がいいと思います。
お子さんの場合は、雪まみれになり、靴にも雪が入りビチョビチョになってしまいがち。乾きやすいゴム製の長靴じゃないと、雪が続く次の日には履くものがなくなります。(笑)

そもそも、高齢者は歩かないのが基本

高齢者の場合は、万が一の転倒を極力少なくするため、万全の装備が必要だと思います。
もし、ご旅行で雪国にということであれば、残念ながら雪の少ない時期にずらした方がよいと思います。
雪国では、車での移動が基本。雪の多い時期に街を歩くというようなことはしません。特に、高齢者の場合は、お子さんやお孫さんの車で目的地まで行き、車で帰ることがほとんど。よっぽどのことがないと冬季に外を歩くことはしません。一人暮らしの高齢者の場合も、公共交通機関を活用し、不要な外出はしません。それでも、どうしてもという場合は、極力歩かせない工夫をしてあげてください。

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