初めてのパンプス選び
この記事の監修者
株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士
靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会
今回のテーマは「初めてのパンプス選び」。就活や冠婚葬祭などで初めてパンプスを購入する方向けにアドバイスをしたいと思います。ちなみに、他のページでも再三説明していますが、残念ながら「あなたの足にぴったりな、痛くならない、Bestなパンプス」は、そう簡単には見つからないでしょう。でも、Betterなものをさらに履きやすくすることは可能だと思います。そこで、TPOやシーンに合わせた、履きやすいパンプスの選び方をご紹介します。
就活&就職編
歩く、歩く、歩く!
就職活動は、とにかく歩くことが多いので、歩きやすいものが最優先。
会社説明会や試験・面接など、毎回会場が違ったり、慣れない場所で迷ってしまったりと、想像以上に歩きます。また、時間に余裕をもったつもりでも、思わず小走りすることもあります。踵脱げしたり、靴擦れしたりすると集中できないうえに、面接官にネガティブな印象も与えかねません。
歩きやすいパンプスとは?
①ヒール高は3~5cm位
本来、パンプスに限らず歩きやすい靴のヒール高は1.5~2.5cm位。しかし、フラットパンプスというわけにもいかなので、歩きづらくならない3~5cm位が妥当な高さといえます。5cmを超えると、前すべりや前足部の圧迫、足裏への負担が極端に増えます。また、TPOから考えても、3~5cm位に抑えておくのが印象も良いようです。
②ヒールは太めのものを
3~5cmのヒールであれば、26.5(500円玉の直径)~31mmくらいのヒール幅があれば普段とあまり変わらない安定感があるはずです。また、サイドからみて細そうに見えるヒールでも、幅がしっかり確保されているものであれば、安定性は変わりません。ヒールをすっきり見せたい場合は、そんなタイプを選んでください。
③つま先は、なるべく丸いものを
パンプスの爪先が長いほど歩いた時に疲れやすくなります。お勧めは、オブリーク、ラウンド、スクエアですが、同じスクエアでもポインテッドに近いものは歩きづらいのでお勧めしません。また、TPOからいっても、スクエア②がギリギリといったところでしょうか。
④横アーチがサポートされているもの。
長時間歩行による足裏の痛みを改善するためのパットが、あらかじめ付いているものや、もともと
横アーチがサポートされたカタチのものがあります。パンプス初心者の方には、こちらをお勧めします。
⑤黒の革素材
基本は黒。エナメルやスエードのようなものはNGです。また、履きやすさや馴染みやすさを考えると本革をお勧めしますが、最近では、合皮や人工皮革のものでも伸縮性のあるものがあります。予算と相談しながら選びましょう。
⑥ストラップ付き
歩きやすさからいうと、断然ストラップ付きの方が良いと思います。多少サイズ感が違っても、踵脱げや前滑りを抑制することができるので、迷ったら、ストラップ付きをお勧めします。但し、ストラップ部分がエナメルになっていたり、美錠(金具)がゴールドのものはNGです。
⑦ウェッジヒールは避ける
ウェッジヒールは、ヒールがちょっと重くなりがちなので、長時間歩行を考えた場合、控えるのが無難です。安定感はあるのですが、踵脱げしやすくなるかもしれません。
⑧ヒールの音に注意
パンプスなどは必然的にコツコツ音がするものですが、必要以上に音のするものは、面接時に目立ってしまうこともあります。意外と、気にしているのは本人だけ、という気もするのですが、気になる方は、ラバー製のヒールリフト(ヒールの底面)をお勧めします。
就活生や新社会人のパンプスは?
①長時間歩いても疲れない・痛くならない
②スタンダードで控え目
この2つをおさえましょう。アレンジは、入社後に周りの環境に慣れてからでも遅くはないと思います。また、どうしても足に合うものが見つからないという方は、「今ある靴を履きやすくする方法」を参照してください。
※リンク
もう一つ、注意していただきたいことがあります。就職活動が進んでくると、ヒールに傷がついたり、汚れが目立ってきます。靴クリームやクリーナーなど最低限のメンテナンスキットを揃えておくと、いざというとき役に立ちます。リフトの傷などを消したり、目立たなくするものもありますので、パンプス購入時にあわせて買っておきましょう。
冠婚葬祭編
お祝い事の場合
お祝い事は、好きなものを履いて存分に楽しんでください。但し、会場と行き帰りのヒール(パンプス)は使い分けるほうが良いかと思います。
葬祭の場合
葬祭では、長時間立ちっぱなしということも多いので、立っているときの安定感を重視してください。
①適度にヒールのカーブがあるもの
パンプスを横から見ると、ヒールのカーブが図ように湾曲しているものがあります。この湾曲が適度にあるものは、歩行時の前滑りを抑制し、アーチもしっかり支えてくれるので、長時間歩いても疲れにくい形状といえます。図の赤い部分にシャンクという金属の板が入っており、背骨のような役割をしています。これがしっかりしていないと、踏んだ時にグニャグニャしてしまい、安定感も損なわれますので、シャンクはしっかりと剛性のあるものが理想です。
また、横から見ると、図の「通常のパンプス」のような形のものでも、インソールに土踏まずを支えるアーチが付いてヒールカーブの役割をはたしているものもあります。実際に履いてみて、土踏まずの部分がしっかりサポートされているかを確認してください。
※チェックポイントは、「今ある靴を履きやすくする方法」編と同様の内容です。
②ヒールの位置が後方にあるもの
ヒールの高さや幅は、「就活&就職編」と同様ですが、歩行よりも安定感を重視する場合は、ヒールの位置が後ろにある方が、より安定して立つことができるので疲労が少ないと思います。ウェッジパンプスは比較的後方にヒールがあるので、黒(光沢NG)のウェッジパンプスが一足あると重宝します。また、ワンヒールのパンプスより剛性があるのでお勧めです。
③ウェッジパンプスはストラップ付きを
ウェッジパンプスの場合、ヒールの重さで踵脱げしないためにも、ストラップ付きをお勧めします。但し、ストラップ部分がエナメルになっていたり、美錠(金具)がゴールドのものはNGです。
④その他
葬祭の場合、少し深めのスリッポンタイプも、黒であれば問題ないと思います。
パンプス初心者の方にとっては、まだまだわからないことばかりだと思いますが、「今ある靴を履きやすくする方法」編もあわせて参考にしてください。
日本の場合、TPOは周りと協調(同化)することを心がければ大きな問題はないと思います。もしわからない場合は、身近な人に聞いてみるのも良いですし、一緒に買いに行ってもらうもの一つの方法です。
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