足のお悩み百科

足の爪のお悩み 

この記事の監修者

株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士

靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会

筋が入っている。厚くなってきた。ボロボロと剥がれる。などなど、足の爪のお悩みを解説。
おすすめする爪の切り方、ジェルネイルや普段のケアについても知っておいてほしいこと、いろいろ。

まず、爪の基礎知識

爪とは

爪は皮膚の付属器官で、たんぱく質の一種であるケラチンできています。その硬さから骨に近いものと思いがちですが、実は、髪の毛と同じ成分です。

爪の大切な役割

小さな器官ですが、指先は爪があることで鋭敏な感覚を発揮しているため、爪に問題があると、歩行時に痛みを生じてしまう(手の爪の場合は細かい作業ができなくなる)など、日常生活に支障をきたすことがあります。
脅しでもなんでもなく、もし、爪がなくなってしまうと、うまく足に力がかからなくなってしまいます。小さいけれど大切なものですから、気をつけてあげてください。

※本来、爪については皮膚科の管轄ですが、爪の変形などで形成外科へ行かれる方も多いようです。
最近ではフットケア外来なども徐々にですが増えてきていますので、症状にあわせて、納得のいく治療をしてくれるところで受診されることをお勧めします。

実際に、爪の悩みを見ていきましょう

お悩みⅠ「症状:爪が厚くなって変色している」

それは → 爪甲肥厚(そうこうひこう)

爪が厚くなってしまうことを爪甲肥厚といいます。主な原因は、巻き爪や爪白癬、外傷(ケガ)ですが、意外と多いのは、深爪による変形ですので、爪を切るときには注意をしてください。
「ただ、爪が厚くなるだけでしょ?」と、一見、日常生活に支障はなさそうに思われがちですが、靴下や靴を履くとあたって痛くなったり、脱ぎ履きがし難くなり、外出を控えるようになってしまったりと侮れません。加齢による変化もあり、高齢の方では4割以上が爪甲肥厚だといわれていますが、年齢とともに厚みがでてくるだけでなく、爪が盛り上がったり巻いてきたり等の変形や、黄色や黒・灰色への変色。歩行時に痛みが生じるなどの場合は、早めにお医者様に相談してください。

お悩みⅡ 「症状:爪がボロボロと剥がれてくる」

それは → 爪白癬(つめはくせん)

爪甲肥厚の原因のひとつに爪白癬があると説明しました。爪白癬とはいわゆる爪水虫と呼ばれるもの。爪が黄色く変色しながらボロボロと削れたり剥がれたりしてくると、爪白癬が原因で爪甲肥厚になっている状態といえます。
初期の状態は一見判別しにくいですが、爪が黄色や白に変色してきたら注意が必要です。よくなりやすいのは、高齢の方、女性の方です。白癬なんて恥ずかしいと思われる方もいるかもしれませんが、年齢を重ねると、爪に限らず体の細胞や組織に空洞ができ、細菌や白癬菌などが侵入しやすい状態になります。清潔に保っていても爪白癬になることがあるのです。
これは、薬を使わないと治らないものですので、「もしかして」と思ったら、恥ずかしがらずに病院へ行きましょう。風邪をひくのと同じと考えてください。

お悩みⅢ 「症状:爪が浮いてくる」

それは → 爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)

爪が先端から浮いて白く見えるようになる場合は、爪甲剥離症の可能性があります。足指よりも手に多いのですが、まれに足にも症状が現れます。カンジダ、ピチロスロルム等の真菌が原因のものや、靴との摩擦、薬剤の副作用(テトラサイクリン)、外傷(ケガ)、病気(甲状腺機能亢進症 膠原病)等、原因は様々です。
爪甲剥離症についても発症してしまった場合は、医師の処方する薬が必要となりますので、皮膚科を受診してください。

お悩みⅣ 「症状:爪が巻いてきている」

それは → 巻き爪

巻き爪の図

巻き爪は、皆さんご存知だと思いますが、爪がカール状に巻く癖がつくことをいいます。これは病名ではありませんが、巻き爪がひどくなり、爪が皮膚に食い込んで傷がついてしまうと陥入爪(かんにゅうそう)という病名がつきます。

原因は、「履いている靴が悪い」「爪の切り方が悪い」などいくつかあります。

靴は、つま先が窮屈じゃないものを選んでいただければそれでいいのですが、それ以外にも実は大きな原因があります。足の爪は常に、巻くような方向に力がかかり続けています。立っているときや歩いているときは、そうならないように地面から反対の力がかかっているのですが、「歩かない」「指を使って歩いていない」などの状態では、その反力がない為、巻き爪になる方向に力がかかりたい放題になってしまいます。

後傾姿勢(うしろ体重)や小股歩きなどは指を使わないで歩いてしまう傾向が強いため、背筋を伸ばしてやや大股気味に歩くことを心がけましょう。また、明確なエビデンス(証拠)はないのですが、浮き指も巻き爪の原因の一つと推測されます。しっかり足指を使って歩くことが予防につながります。

また、巻き爪が痛くなると指を使って歩くと痛くなるために、指を使わずに歩き始めるという、負のスパイラルに陥ってしまいますので、予防が大切になります。

足指をしっかり使うと、巻こうとする力の反力が生まれる

お悩みⅣ 「症状:古い爪の下から新しい爪が生えてきて根元に炎症が起きる」

それは → 後爪郭部爪刺し(こうそうかくぶつめさし)(後方陥入爪:こうほうかんにゅうそう)

なんだか難しい言葉ですが、これは不完全に剥離した爪甲(つめ)が脱落しないまま、後爪部(爪の付け根)に埋め込まれ、その爪甲(つめ)の下に新たな爪甲(つめ)が形成され、後爪部に炎症が生じる状態です。

もっと、簡単に言ってしまえば、死んだ爪が剥がれずに下から新しい爪が生えてきて爪の付け根の部分が圧迫され、炎症を起こすことを言います。10~30代の女性に多く、患部のほとんどが母趾(親指)にあります。ハイキングやジョギングのほかにハイヒールや合わない靴の使用で慢性的に引き起こされるようです。

実は、私も初めて聞いた病名でしたので、「外来で役に立つ爪診療ハンドブック」P93,94を引用させていただいていますが、症例の写真を見る限りでは、「スポーツでケガをして内出血を起こして」というよりは、「微小な負荷が慢性的に繰り返していつの間にか」というように見えます。

この場合は、保存療法は無効であり、古い爪甲を除去するしかないそうです。我慢をせずに早めに受診してください。

お悩みⅤ 「症状:爪が凸凹している、縞が入っている」

爪の模様について

爪の模様の図

①縦の凸凹や白い線が入る

爪甲縦条(縦溝) 爪に縦の凸凹ができたり、白く線が入ったりすることがありますが、これは多くの場合加齢によるもので、30~40代あたりからみられます。肌荒れやシワのようなもので、水分不足、新陳代謝の低下、爪まで栄養が行き渡らないなどが主な原因です。10~20代で現れる場合は、食生活や睡眠不足などの生活のみだらによるものが多いといわれています。

②赤黒い線や茶色の線が入る

赤黒い線や茶色の場合は、爪の根元にほくろができていることもあります。まれにメラノーマ(ほくろのガン)の可能性もありますので、気になるようであれば皮膚科を受診することをお勧めします。

③横に凸凹がある

場合は、神経疾患、皮膚疾患などの全身の疾患の影響や服用している薬の副作用の可能性があります。根元に近い部分ほど、最近の異常を表しています。

実は、私の母が乳がんになり抗がん剤の治療をしていたときに、母の爪が見事に縞模様になっていました。
抗がん剤治療を終えると、根元からまたきれいな爪が生えてきています。

縞模様ができた時は、最近の体調や服薬などの状況と照らし合わせると、原因が見えてくるかもしれません。

では、おうちでできるネイルケア

◎爪を見ていますか?

痛くなってはじめて爪を見るという方、いませんか?
多少変形していても痛みもないし、気にしない方が多いようですが、実は、痛みが気になりだした時には、さまざまな症状が出て、負のスパイラルに陥っていることが考えられます。
痛くなる前にケアが必要です。例えばお風呂で毎日チェックするなど、気にしてあげてください。
最近では、病院でもフットケア外来などもあり、小さなお悩みでも早めに相談してみることをお勧めします。

◎足にやさしい、爪の切り方

爪は伸ばしすぎない。
深爪しない。
丸く切らない。この3つを守ってください。

正しい爪の切り方の図

一番右はスクエアオフカットと言い、爪の両端に圧力がかかっても、角の部分が支えとなって爪が巻くのを防ぎます。

①長さは指の先端に合わせるか、少し長め。普通の爪きりで一気に切ろうとすると丸くなってしまうので、少しずつ切って最後にヤスリで整えるようにします。
ニッパータイプの爪きりの方が上手く切れます。

②ヤスリで仕上げる時は、一方通行で。ヤスリを往復させると、爪の切断面が痛みやすくなります。
また、角は少しだけヤスリで丸みをつけることで、ストッキング等が引っかかり難くなります。

◎足指をちゃんと使って歩きましょう。

巻き爪の項目でもお話ししましたが、足の指をしっかり使って歩くことが大切です。
後傾姿勢(うしろ体重)や小股歩きなどになっていると足指に力がかかっていません。
背筋を伸ばしてやや大股気味に歩くこと。しっかり足指を使って歩くことが爪の健康にもよいようです。

◎その爪トラブルはジェルネイルのせい?

最近では、ジェルネイルによる問題も増えているようです。
ジェルネイルを施術して2~3か月放置すると、ネイルを施した部分が先端側に移動し、そこへ応力がかかり徐々に浮き上がって剥がれてしまうというもの。これはある種の怪我のようなものですよね。
足の爪は、手の爪に比べ伸びる速さも遅いのでめったにないとは思いますが、手指の爪では話題になっていますので、足指でもおこる可能性は否定できません。
おしゃれも大切ですが、爪は髪と同じ成分でできているという事実も忘れないでください。デリケートなのです。

◎夏が終わったら、ジェルやマニュキュアはちょっとお休みに。

最初に説明しましたが、爪は髪と同じ成分です。髪にはコンディショナーなど栄養を補うものを使っているのに、爪にはジェルやマニュキュア・除光液など刺激の強い薬品ばかり。さらに、ネイル剤の付きが良くなるように、爪の表面を削ることで、ますます弱っています。
サンダルの時期が終わったら、ジェルやマニキュアはお休みにして、爪にも休息を与えてあげてください。
美しいのは大賛成ですが、爪のためにはほどほどを心がけてくださいね。

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