足のお悩み百科

靴は軽い⽅がいい?重い⽅がいい?

この記事の監修者

株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士

靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会

「軽い靴」か「重い靴」か。購入する時に迷われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、靴選びの永遠のテーマ、靴の重さについて取り上げたいと思います。

何グラムだと「軽い靴」?「重い靴」?

靴を手に持った時の感覚で「軽い」「重い」と、普段履いている靴と比べて判断する方がほとんどではないでしょうか。
AKAISHIでは、自社の靴を
・250g以下の靴は「軽め」
・320g以上の靴は「重め」
と分類されています。
長時間歩行や特殊な環境下での使用を想定した靴ほど重量が重くなる傾向があります。

「重い靴」と「軽い靴」って何が違うの?

重い靴の代表は、ウォーキング専用に作られたシューズ、ハイキングやトレッキングシューズが挙げられます。

これらはしっかりとした厚みのあるクッション、堅牢なアッパーや足を保護するサポートパーツ、耐滑性のあるアウトソールなどの機能がふんだんに取り入れられ、そのために重くなる傾向にあります。
長時間の歩行や悪路を歩いた際の耐久性、歩行時の安定性を保つために設計された機能性に富んだ靴と言えるでしょう。

軽い靴は、まず競技用のランニングシューズが挙げられます。

上級ランナーになるにつれて、大会などにエントリーした際などに使用する、より軽いシューズを好まれる傾向があるようです。

またアウトソールの厚みが薄い、パンプスやフラットシューズなどのタウンシューズは、長時間歩行に耐えられる重めのシューズと比較すると衝撃吸収性やサポートパーツが少なくなる分、より軽く、デザイン性に富んだものが多い傾向があります。

重い靴は「振り子の原理」で足が進みやすいって本当?

重い靴の方が「振り子の原理」で足が前に進みやすく疲れにくいという説明を受けたことがあるかもしれません。
しかしながら、そもそも「振り子の原理」においては、振り子の揺れの周期は振り子の糸の長さに依存するものであり、重さよって周期は変動しません。よって、進みやすいとは一概に言えません。

また、足は振り子のように常に宙に浮いて一定の振れ幅で運動しているわけではありません。歩行の際、足は離床と着地を繰り返し加速や減速をする運動をしています。その足をスイングする動作を制御しているのも自分自身のため「重い靴だから軽い靴よりも足が前に出やすい」というのは少々強引な見解ではないかと思います。

靴が重くなると、歩く速さが遅くなり歩幅も短くなる!?

足部疾患のない成人22名を対象とした、片足244g±34gの靴に200g、400gの重りを挿入して歩行速度(cm/s)、歩幅(cm)をそれぞれ計測したデータがあります。
段階的に重りを足していくと歩行速度は遅くなり、歩幅も狭くなっていくことが示されています。

表)靴に加重して歩行した被験者の歩幅、歩行速度の平均値

加重(g) 歩幅(cm) 歩行速度(cm/s)
+0g 76.1 25.7
+200g 75.9 25.3
+400g 75 24.3

では、自分には重い靴がいい?軽い靴がいいのか?

「重さ」という要素だけに絞って述べるならば。

  • 普段から運動をしていて一定の筋力のある方であれば、好みで選んで問題はないと思います。
  • 筋力があまり無い方は、履いた際に感じる重さによって疲労を感じやすいケースがあります。歩いた時に重さが気にならない程度の靴を選ぶのが良いでしょう。

ただし、これは先に述べた通り、あくまでも靴の機能性を除外した話になります。
実際の靴選びでは、軽い重いよりも、安全機能や、アーチのサポート等の健康機能がより大切なポイントとなります。

軽い靴がいいのか、重い靴がいいのか、の答えとしては。
ただ軽い・重いで靴を選ぶのではなく、自分の足の形や筋力・用途など、さまざまなことを複合的に考えて選ぶことが重要です。そのためにシューフィッターなどに相談するのも助けになると思います。

※ウォーキングシューズの選び方については当サイトのバックナンバーをご参照いただければと思います。

もう一つアドバイス。
特に店頭では、靴を手に持った時に重量が重いと、「これは重いからダメ!」と試し履きすることもなく拒絶されてしまう方も見受けられます。
しかし、手に持った時と実際に履いたときの感覚に違いが出るのも靴の面白いところ。
例えば多少重さがあっても靴底がやや船底のようなロッカーソールとよばれる形状の機能性に特化した靴では、少ない消費エネルギーで歩行できる効果もあり、軽いだけの靴より長時間履いていても疲れにくいというケースもあります。

気になる靴に出逢ったら、とりあえず履いて試してみること。そうすれば、自分に合った靴に出会う確率が格段に高くなります。

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