冬(寒い季節)のウォーキング
この記事の監修者
株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士
靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会
立春を過ぎ暦の上では春なのに、寒さはまだまだ冬仕様。
ミカンとお茶をいただきながら、コタツでまったり。そんな方も多いと思います。
でも、ちょっと待ってください。そのままでは、春まで何もしないで過ごし、夏に後悔。
そんな一年になってしまいます。
「今年こそは、健康に良いことを!」と思っている方は、手軽に実践できる“歩くこと”から始めてみませんか。
まずは、近所を散歩する程度で構いません。いつもより一つ先にあるバス停を使ってみるのもいいでしょう。
今回は、《冬のウォーキング》をテーマに、寒い時期に行うメリットやデメリット、留意点などを
紹介していきます。
冬のウォーキングのメリット
寒い時期のウォーキングには、おもに二つのイイコトがあります。
1.冬は、太りやすくて、痩せやすい
「食欲の秋」「正月太り」など、秋~冬は太るイメージがあります。しかし、一方では、寒くなると基礎代謝が上がるので痩せやすくなるともいいます。どちらが本当なのでしょうか?
答えは「どちらも本当」です。
まずは、冬になぜ太るのかを考えてみましょう。
理由は簡単で、秋~冬は摂取カロリーが増えるからです。
そして、この摂取カロリーが増える要因は二つあります。
一つ目は、祖先の習性。食べ物のない寒い冬を乗り越えるため、体に脂肪を蓄え、一所懸命生き残ろうとしていた人類の祖先の習性なのです。
二つ目は、食べ物自体のカロリーがUPすること。例えば、同じ魚でも、寒くなると脂がのってきますよね。すると、当然カロリーは増えるわけです。
このような要因があるにもかかわらず、現代の私たちは、おいしいものを食べ、暖かい部屋でぬくぬくと過ごしています。これじゃ、太りますよね。
続いて、痩せる仕組みについて解説します。
私たちは恒温動物なので、常に一定の体温を維持しています。
夏は汗腺から汗を出して体を冷やし、冬は脂肪を燃やして体を温めます。
つまり、夏に痩せるのは、水分が体から出ているから。
冬に痩せるのは、体に蓄積された脂肪を消費しているからです。
どちらも体重が減ることに違いはありませんが、健康的なのは、脂肪を燃焼する冬だといえます。
このように、秋口からの帳尻を合わせるのは、寒い今しかありません。春からでは、遅すぎます。
寒い時期こそ、ウォーキングなどの有酸素運動の真の効果が表れるのです。
2.運動習慣が身につく
「秋や春先に始めた運動は長続きしない」というのをご存知ですか?
ある心理学の先生によれば、気持ち良い時に始めた事は、その後苦痛に繋がってくるので長続きせず、苦しい時期から始めた事の方が長続きするというものです。スポーツの秋に始めた運動習慣が、冬まで続いている人はほとんどいないともいわれています。
寒くて辛い今だからこそ、外に出てウォーキングを始めてみませんか。この時期に習慣づけることが、長続きの秘訣。毎日決まった時間に歩く必要はありません。週に1回でも、何かの合間でも構わないので続けてみましょう。
冬のウォーキングのデメリット&リスク
ウォーキングを続けるにあたり、気をつけたいことがあります。
1.循環器系障害
なんといっても、心筋梗塞や脳血管障害などの循環器系のリスクに注意が必要です。
簡単に説明すると…
血管は寒くなると収縮し、硬く細くなります。すると、血圧が上がり、老廃物もつまりやすくなります。寒くなればなるほど、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなるわけです。
ちなみに、最近よく耳にする、血圧サージ(血圧の急上昇)やヒートショック(温度の急変で体がダメージを受けること)も、血圧の乱高下によって起こるものなので、同様のリスクが生じます。
これらは、血圧の高い人や高齢者だけでなく、血圧の正常な人や若い人にも起こる現象なので十分に注意しましょう。
血圧を下げる、血圧の急上昇を抑える。これがポイント!
1日のうちで最も血圧が低いのは、寝ている時間なのですが、寒い日の朝、起きて急に運動を始めると、一気に血圧が上がります。なので、冬のウォーキングは、朝起きてからではなく、夕食後か時間のある方は日中に行う方がよいと思います。
それ以外にも、●足元を冷やさない、●体を締め付けるような服装をしない、といった注意が必要です。●準備運動も必ずしてください。屈伸や前屈、足首回しなど、簡単なものでも構いませんので、必ず、玄関を出る前に行いましょう。また、気休めかもしれませんが、●玄関を出る前にゆっくり深呼吸を5回ほどすることで、一時的に血圧を下げることができます。(私は健康診断前によくやります…)
下記予防策を参考にしながら、安全なウォーキングを心がけましょう。
5つの予防策
1.「朝起きてすぐ」は避ける。
2.体を冷やさない。特に、足元。
3.ゆったりめの服装で、体を締め付けない。
4.準備運動を暖かい家の中で必ず行う。
5.玄関を出る前にゆっくり5回ほど深呼吸。
2.脱水水分補給
もう一つ大切なのは、水分補給。ランニングではないので、それほどシビアになる必要はないかもしれませんが、冬は気づかないうちに脱水症状になりがち。水分補給を忘れずに行いましょう。ウォーキング時間の長さにもよりますが、それほど長くなければ、途中で水分補給というよりは、出発直前に温かい飲み物を飲むのが良いかもしれません。ウォーキング後の水分補給もお忘れなく。
長続きする始め方・歩き方
1. まずは、習慣づけることが大切です。
※散歩するつもりで、ゆっくりと、週1回・5分からでも十分です。
2. 徐々に、頻度を増やしていきましょう。
3. 慣れてきたら、今度は時間を増やしていきましょう。
※有酸素運動は20分継続しないと効果がないといわれますが、1分でも2分でも体を動かし、カロリーを消費していることに変わりはありません。最初は20分以上にこだわらず、気楽に続けてください。
4. 30分以上歩けるようになったら、歩き始めて20分くらいしてから、少しだけスピードUP。
※無理せず、疲れたら速度を落として構いません。大切なのは、頻度と歩行時間です。
※また、冬場は、いきなりトップスピードで歩くと血圧が急上昇しますので、十分注意しましょう。
5. 楽しみを見つけましょう。
※この段階まで来ると、ウォーキングがすっかり習慣化されているはずです。
あとは、長続きさせるために楽しみを見つけて取り組みましょう。
「ウォーキングは初心者も熟練者も関係ありません。体力に合わせ、短時間でも良いので、長期間続けるための工夫が重要です。」
ちなみに、ダメ人間な私にもちょっとしたルールがあります。
- バスの待ち時間が長いときは、その先のバス停まで歩く。
- 朝駅まで30分歩いた日は、帰宅後ビールを飲んでもよし。
- 駐車場は一番遠いところに止める。(車が大切なので)
- お菓子やスイーツの買い置きはしない。食べたいときは、必ず歩いて買いに行く。
- 猫好きなので、時間のある時は、猫のいる公園まで歩いて遠出する。
自分自身にちょっとしたニンジンをたくさんぶら下げています。
冬のウォーキング時の服装
1. 玄関を出るときは、とにかく温かく。
※慣れるまでは、手袋・帽子なども着用する方がよいと思います。歩き始めたら温かくなるだろうという油断は禁物。思ったより温かくなりません。
2. アウターは、暑くなって脱いだ場合も邪魔にならないものを選ぶ。
3. 靴は、初めのうちは手持ちのスニーカーなどの中で一番歩きやすいものでOK。
※但し、靴底の硬いもの、薄いものは避けてください。
※ウォーキングシューズを履くのは、30分以上習慣的に歩くようになってからでも遅くないと思います。
※ウォーキングシューズがない場合は、初心者向けのランニングシューズで十分だと思いますが、通気性の良いものは足元が冷たくなるので、気をつけてください。
~余談~
「冬にウォーキング!?」「そんな暇があったら、雪かきするべ。」
私の両親も、春〜秋はウォーキングをしているのですが、今回のテーマを聞いて鼻で笑われてしまいました。
そうです、忘れていました。
道産子の冬の運動習慣といえば「雪かき」。1月~2月は、ほぼ毎日。場合によっては、1日数回。めちゃくちゃ大変な肉体労働がありました。とにかく、ウォーキングに限らず何かしらの運動を習慣づけることが大切です。
その選択肢の一つとして、ウォーキングしてみてはいかがでしょうか。
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