靴紐を緩めたまま履くのは足のトラブルのもと。シューフィッターがお勧めする靴紐の通し方、結び方
この記事の監修者
バチェラーシューフィッター 飯嶌
靴紐は、自分の足の形に合わせてフィット感を調整できるので、靴の性能を最大限に発揮することができます。しかしながら脱ぎ履きが面倒という理由で、靴紐を緩めたまま履く方が散見されます。私共のお店に来るお客様も、ほとんどの方が紐を緩めたまま履かれています。
靴紐を緩めたまま履く弊害
1)足指のトラブルの原因になる
靴の中で足が前へ動いてしまう為、つま先と靴との間に圧迫摩擦が生じます。
外反母趾や内反小趾の方は特に注意が必要
母趾や小趾の外側が当たらないように靴紐を緩くしがちですが、足が前へ動くことによって母趾、小趾が圧迫されてしまいます。
タコ・ウオノメの原因に
母趾や小趾の外側、2趾や3趾の背側、足趾付け根にタコやウオノメができやすくなります。
末梢神経が圧迫を受けて痛みやしびれの原因になる場合も足指には神経を保護する筋肉がないため、靴内でつま先が圧迫されると、神経が圧迫されてしびれをきたす場合があります。
2)余分な力が入って疲れやすい
上り坂や階段の上り
靴紐が緩いと、つま先で蹴り出す時に靴の中で滑ってしまい、力が上手く靴に伝わりません。
その結果、余分な筋力が必要となり足趾の付け根に繋がる筋肉やふくらはぎの筋肉が疲れやすくなります。
下り坂や階段の下り
靴紐が緩いと、足がどんどん前へ動いてしまいます。これを防ぐために足指に力を入れて踏ん張る状態になるため、足指やふくらはぎの筋肉が疲れやすくなります。
3)足首グラグラで安定性が低下
靴の中で足が動くと踵が安定せずに重心が不要に横揺れします。これはO脚の方やX脚の方、膝関節や股関節にトラブルを持っている方には好ましくありません。
正しい靴紐の通し方、結び方
靴紐の通し方は主に2種類。「オーバーラップ」と「アンダーラップ」と呼ばれる方法があります。
オーバーラップ
一度締めたら緩みにくいのが特徴で、以下のような用途に適しています。
・スポーツ
・靴の中で足が動いてしまう
・細足の方
アンダーラップ
一度締めても適度に緩んで足になじみやすいので、以下のような用途に適しています。
・普段履き
・長時間のウォーキングやジョギング
・登山
・甲高の方
外反母趾や内反小趾の方用
オーバーラップを元に母趾や小趾にかかる前の方はゆとりをもたせて、真ん中から後にかけてはタイトに締める通しかたです。
前の方はゆとりをもたせる
真ん中から後ろにかけてはタイトに締める
ヒールロック(ダブルアイレット)
かかとをしっかり固定する通し方。ただし、締めすぎると踵の動きが制限されます。
・細足、かかとが小さい方
・かかと脱げしやすい方
簡単で解けにくい結び方
イアンノットと呼ばれるこの結び方は、蝶々結びと比べて均等に強い力で結び目がつくれるので、解けにくいです。また慣れてしまえば、蝶々結びよりも素早く簡単に結べます。
どんなに足に良い靴でも、靴紐の通し方や結び方が適切でないと、靴の性能は発揮されません。
ぜひ一度、自分に合う靴紐の通し方をして、しっかり結んで歩いてみて下さい。歩きやすさの違いを体験できるはずです。
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