ウォーキングで「免疫力」はアップする?
この記事の監修者
株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士
靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会
新型コロナウイルスによる外出自粛やテレワークで、運動不足の話題が続いています。まだまだ気の抜けない状況の中、今回は運動不足による体力や免疫力の低下が気になる方に、ウォーキングと免疫力の関わりについてお話しします。
いきなり本題ですが、テーマにあるウォーキングで免疫力がアップするのか?
答えはイエスであり、ノーでもあります。
適度な運動やウォーキングは免疫力の強化・代謝の強化につながります。
しかし、オーバーワークによる疲労の蓄積で免疫が低下することがありますので、あくまでも適度にウォーキング運動を行うことが大切です。
結論は出ていますが、いい機会ですからじっくり免疫のことを紹介していきましょう。
そもそも免疫って?
まずは、運動と免疫についてかんたんにメカニズムを説明します。
免疫とは何でしょうか。それは、細菌やウイルスなどの外敵が体の中へ侵入してきた時に、立ち向かい排除する仕組みのことです。
その仕組みがあるのは、血液の中です(一部リンパにも)。
血液は酸素を運ぶ赤血球や免疫を制御する白血球、血小板や血漿で成り立っています。
免疫を生業する白血球も、一つの種類ではなく、リンパ球好中球、好酸球、好塩基球、単球などそれぞれ異なる働きをもっています。
詳しい説明は省略しますが、大雑把に言うと白血球はウイルスを攻撃したり食べてしまう役割。興味がある方は「はたらく細胞」というアニメをおすすめします。非常によくわかる内容です。自分が学生当時、こういう教材があれば点数がよかったのにと、最近の学生さんを羨ましく感じています。
さらにもうひとつ。最近よく耳にする抗体とは?
それは、ウイルスにくっついて目印の役目をするもの。この目印をもとに白血球はウイルスなどの外敵を優先的に攻撃して、食べてしまうのです。コンビニにある、防犯対策用のカラーボールみたいなものですね。ただし、運動することで抗体ができるわけではないので、今回はちょっと話を省略いたします。
運動で免疫が高まる仕組みとは?
では、運動をすると免疫力が高まるのは、どういった仕組みなのか。
先程の説明の中にあった白血球のひとつであるリンパ球は、さらに、T細胞、B細胞、nk細胞、nkt 細胞といったそれぞれの細かい役割持ったものに分類されます。
そのうちのnk細胞が運動によって特に活性化されます。
このnk細胞に焦点をあててみましょう。
nk細胞は、常に体の中を循環してガン細胞やウイルス感染細胞などへの初期攻撃を担当しています。ウイルスを巡回警備しているわけですね。nk細胞が活性することで、体内に侵入したウイルスをより初期の段階で駆除することができるのです。
ちなみに、このnk細胞、略さず書くと「ナチュラルキラー(生まれつきの殺し屋)細胞」といいます。なんとも強そうですよね。ウイルスだけでなく、ガン細胞を初期の状態で攻撃してくれる頼もしい存在です。
運動以外で、nk細胞を活性化するには
- 体温を下げない
- 睡眠を十分にとる
- 腸内細菌の善玉菌を増やす
(注意)頑張りすぎや夜更かしなどは逆に nk細胞の活性化を妨げます。
では、効果的な運動量はどのくらい?
ある論文では有酸素運動の強度が最大酸素摂取量の50%~60%ないし、無酸素性作業閾値以下で1日20分~60分までを週3回以上の頻度で長期継続することが推奨されています。
難しい表現でわかりにくいですね。
読み解いてみると、ウォーキングでいえば、じんわりと汗をかく程度の無理のない速度で20分~1時間歩くというところでしょうか。普段運動を全くしていないような人がこれからウォーキングを始める場合は、まずは20分を目安に始めてみましょう。
いきなり長時間激しく歩いたり走ったりすることは逆に免疫力の低下につながりますので注意してください。
出典:日本補完代替医療学会誌 第1巻 第1号 2004年2月 31-40
[総説] 運動と免疫
一般的に健康的なイメージがあるアスリートですが極度の運動や疲労によって、実は、nk細胞やIgAという抗体が減ってしまい、免疫機能が急激に低下し、風邪や感染症にかかりやすい状態の方も多いと聞きます。
あくまでも、適度な運動を心がけてください。
ニューノーマル時代のおすすめウォーキング
まずは、ウォーキングの際マスクを使用すべきか否か?
まったく人のいないまたは人とすれ違うことがない状態であればマスクは必要ないと思います。
しかし、人とすれ違うまたは、人通りがあるところではマスクをして歩くのが好ましいでしょう。
マスクをして夏ウォーキングをする際は熱中症などになりやすいので、給水や休憩などをこまめに摂るようにしましょう。
最近出された論文の中に興味深いものがありました。例えば、友人やご家族と一緒に歩いたり走ったりした場合、スピードにもよりますが、2m間隔をあけたとしても前を歩く人の飛沫が後ろを歩く人にかかってしまう恐れがあるそうです。もっと距離をあける必要があるかもしれません。
10m以上は距離をあけて、おしゃべり会話は極力控えてウォーキングをしてください。
出典:Towards aerodynamically equivalent COVID19 1.5 m social distancing for walking and running
ウォーキング後、ご自宅に戻った際はすぐに手洗いうがいを忘れずに。
ウォーキングで履いていた靴は十分に風通しの良い場所に保管してください。
運動習慣でニューノーマルを乗り切ろう!
様々な制約はありますが、面倒くさがらずに怖がらずにウォーキングの習慣をつけましょう。
外出を控え続けることで免疫力や筋力の衰えがさらに著しくなってくると、適度な運動を行うことは、今まで以上に重要になってきます。
私も3月~5月にかけてほとんど外出をしておりませんでした。それによって体重も増え、駅まで歩くのにも息切れするようになりました。最近では、なるべく車移動を控え、家でも色々工夫して運動するようにしています。
皆さんもウォーキングや適度な運動で免疫力をつけ、このニューノーマル時代を一緒に乗り切っていきましょう。
AKAISHI公式通販コンテンツ
記事の内容で解決しない場合は、専門家に相談
足の専門家によるお悩み相談
フットケア相談室
専門家による足のお悩み相談を承っています。足や靴でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
※ご相談が集中した場合は回答にお時間をいただくことがございます。
※土日、祝祭日、年末年始、夏季期間は翌営業日以降の対応となりますのでご了承ください。
※お客様からお預かりする情報は、当社の個人情報保護方針よって適切な管理と保護に努めます。
※ご相談の内容によってはお返事に数日間をいただく場合がございます。