医療やスポーツで使われている足裏マッサージ7選
この記事の監修者
株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士
靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会
Go To TravelやGo To Eatで久しぶりに外出された方も多いと思います。長らく続いた自粛生活で体力や筋力が衰え、普段以上に足裏に疲れを感じている方も多いのでは?
そこで、今回は「足裏のマッサージ」を取り上げたいと思います。
種類はさまざま「足裏マッサージ」
足裏マッサージといっても、英国式・台湾式・中国式リフレクソロジー、足ツボマッサージ、鍼灸のような広く認知されているものから、筋膜リリース、アーユルベーダ、フィッシュフットマッサージなどの変わり種まで様々なものがあります。マッサージ機もいろいろありますね。私も2台持っていますが、確かに気持ちいいです。ただ、これらのマッサージはエビデンスに乏しく、改善メカニズムも不明瞭なものが多いので、あくまでもリラクゼーションの一環と捉えたほうがいいでしょう。
そんな中でも、物理的な圧迫で筋肉の硬直を改善するクリニカルマッサージなどは、完全ではありませんがメカニズムも比較的解明されています。医療やスポーツの現場でも実践されているので、効果が期待できるといえます。ちなみに、ちょっと前に流行った肩甲骨剥しや筋膜リリースなどは、これに近いかもしれませんね。
代表的な足裏マッサージ
リフレクソロジー | 足の反射区(ゾーン)をソフトにマッサージすることにより、対応する全身の症状を改善するマッサージ。 |
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足ツボマッサージ | リフレクソロジーと似ていますが、足の経穴(ツボ)を強くピンポイントで押す指圧のようなマッサージ。 |
アーユルベーダ | いわゆるオイルを使ったリンパマッサージで血行と代謝を促進。 |
フィッシュフットマッサージ | 水中に足を入れてドクターフィッシュに角質を食べてもらう美容に近いマッサージ。 |
クリニカルマッサージ | 機能解剖学に基づいたマッサージで、機能障害を起こしている部分を物理的に圧迫・マッサージすることにより、筋肉の硬直を改善し、それに伴う機能障害の改善を目指す方法。 簡単にいうと、指圧や整体に近いマッサージ方法。 |
足裏に疲れを感じるメカニズム
「足裏の疲れ」とは、なんでしょう?
例えば、長時間歩行後のジンジンするような疲労感、ランニング後の土踏まず部分の筋肉の凝り、夜寝る前に気になる浮腫みや火照り、履物による窮屈感や圧迫感などいろいろあると思います。
今回はその中でも、長時間の立ち仕事や歩行による疲労についてご紹介いたします。
マッサージで解決する足の疲労とは?
簡単にいってしまうと、足の疲労とは、「足部内の筋肉(足内筋)の硬直」による疲労・違和感です。足部の関節回りも軽くストレッチすることで、関節の動きもスムーズになり、足内筋の負担軽減につながります。
この足内筋、ちょっと切ない宿命の持ち主で、機能解剖学の教科書を見ると、実に扱いが小さい。歩くたびにこんなにも頑張って、疲れ果てているのに。歩行動作にはほとんど使われてないような補助筋扱いなのですが、実は、足部の安定性やアーチの形成に非常に重要な役割を果たしている働き者なのです。しかも、約4層にびっしりと重なり合っている足内筋は、一つ一つが小さいので、疲労しやすいともいえます。
一番わかりやすいところでいうと、母趾外転筋は、足底の靭帯や足外筋である後脛骨筋とともに土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)を保持するのに役立っているといわれています。(ここはよく皆さんが疲れやすいと感じているところだと思います。)ここが衰えると外反母趾では変形を増悪させる要因になります。
また、虫様筋、足底方形筋、骨間筋などは、ハンマートウ変形などと関係しているので非常に重要な筋肉といえます。
中高年になり、このあたりの筋肉が衰え始めると、足部アーチに起因する障害や変形が徐々に現れ始めます。日ごろのケアが、健康な足の維持につながるといえます。
注意!マッサージで悪化する痛み
ヒールや革靴、競技用シューズを履いた後のような、足裏全体がジンジンするような痛みは、ソールが柔らかくクッション性のあるものに履き替えることで疲労感を軽減することができます。
しかし、アーチの崩れによる足部疲労については注意が必要です。足底筋膜炎などの足部障害、慢性的な疲労感や痛みは、根本的な予防が大切になってきます。
このような、アーチの崩れによる痛みや違和感は、筋肉の硬直によるものではないため、マッサージを行うことで、炎症の悪化・慢性化につながってしまいます。まずは、「冷やす」ことを心がけてください。
また、このような方は、事前の予防が大切です。外履き・室内履きともに、土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)をサポートする履物を常に履くようにしてください。
※詳しくは、こちらを参考にしてください
足のお悩み百科/足底筋膜炎編 ⇒ https://akaishionline.com/ashinoonayami/category/sokuteikinmakuen/
※その他、浮腫みや火照りについてはこちらを参考にしてください
足のお悩み百科/むくみ編 ⇒ https://akaishionline.com/ashinoonayami/category/mukumi/
足裏マッサージの効果
筋肉は一般的に、収縮と伸長を行うことで関節を動かしたり、骨格を保持したりします。この筋肉が凝り固まった状態では、この収縮がうまくいかず力を発揮することができません。また、この状態が慢性化することで、筋力の低下、足部の変形とつながってしまうので、疲労感の軽減以上にマッサージが重要だといえます。
普段革靴を履いているサラリーマンの方・趣味でスポーツをやられている方は…
土踏まずや足裏のマッサージをすることで、
疲労の軽減、アーチの低下に起因する足部障害の予防が可能です。
足底腱膜炎やアキレス腱炎のケアに…
土踏まずや足裏のマッサージと合わせて、
ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)のマッサージをお勧めします。
高齢の方は…
土踏まずや足裏のマッサージとともに、
指の関節のストレッチングやタオルギャザー運動を併用することで、
バランス力を向上させ、転倒防止に役立てることができます。
ストレッチング
タオルギャザー運動
足裏マッサージのやり方
部位ごとに、マッサージの方法を紹介いたします。
母趾外転筋
①足首の力をぬき、リラックスした状態で土踏まずの中央を側面から親指で押圧する。
②しっかりと筋肉を押圧し、親指を筋肉に沿って踵まで滑らせる。
※セルフで行う際は、足底筋膜を押圧しないよう、足首を伸ばし、足の親指の力を抜いて行いましょう。
※足底筋膜炎などの痛みがある場合は、行わないでください。
足底方形筋
①足首の力をぬき、リラックスした状態で足裏の中央付近を 親指で押圧する。
②しっかりと筋肉を押圧し、親指を筋肉に沿って踵まで滑らせる。
※これはセルフでは、なかなか難しいので、地面にゴルフボールなどを置き、転がすようにマッサージしてください。
※足底筋膜炎などの痛みがある場合は、行わないでください。
母趾内転筋
①足首の力をぬき、リラックスした状態で足裏の中央付近を親指で押圧する。
②しっかりと筋肉を押圧し、親指を筋肉に沿って母趾付け根まで滑らせる。
少趾外転筋
①足首の力をぬき、リラックスした状態で足裏の中央付近を 親指で押圧する。
②しっかりと筋肉を押圧し、親指を筋肉に沿って踵まで滑らせる。
※足底筋膜炎などの痛みがある場合は、行わないでください。
虫様筋
①足首の力をぬき、リラックスした状態で足裏の中央付近を親指で押圧する。
②しっかりと筋肉を押圧し、指と指の骨間に沿うように押圧し、つま先側へ滑らせる。
※セルフで行う際は、指圧棒などを使うとマッサージしやすいです。
短趾伸筋
①両手で足を絞るように、前後へ滑らせる「スクイージング」という方法を行います。
この際、施術する人の親指で、甲にある短指伸筋を押圧しながら行うのがポイントです。
背側骨間筋
①「ストリッピング」という方法で、指の骨と骨の間を滑らせるように筋肉を押圧します。
足裏マッサージのような作用がある履物
これらのマッサージを自分で行うのは、なかなか難しいですよね。そんな時は、このような履物を試してみてはいかがでしょうか。
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