偏平足と開張足
この記事の監修者
株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士
靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会
内側縦アーチが崩れる偏平足/外反偏平足
偏平足/外反偏平足とは?
偏平足は、①の内側縦アーチ(いわゆる、土踏まず)が崩れてしまった状態のことをいい、(単純)偏平足と外反偏平足の2種類があります。
これは、舟状骨という内側縦アーチの頂点が疲労や足底筋膜等のゆるみにより下がり、(単純)偏平足になります。そして、さらにアーチが落ちてくるとやがて、踵骨というかかとの骨が内側に倒れ、外反偏平足と呼ばれるようになります。
外反偏平足になると小指側が浮き指気味になったり、土踏まずの側面が靴にあたることで靴ズレを起こしたり、いよいよ履く靴を選ぶようになってしまいます。また、内側縦アーチが落ちることで疑似的に足長が伸びてしまいますので、1サイズ大きめの靴を選ぶ人が多いようです。
これは根本的な解決にはなりません。内側縦アーチ(土踏まず)を下から支えるインソールを使うなど、ある程度の補正が必要になってきます。
こんな人は、偏平足かも?
- いつもの靴なのに、最近つま先があたるような気がする。
- 疲れやすくなった気がする。
- つま先立ちがしにくくなった。
偏平足 / 外反偏平足用のインソール
土踏まずのアーチを支えるインソール
よく聞くフレーズだと思うのですが、市場にある9割くらいの商品にこの機能がついています。
土踏まずがポッコリと盛り上がっていたり、アーチの形状にせりあがっていたりと、形は色々ですが目指している機能はどれも同じ。
偏平足/外反偏平足の抑制や補正のために下から支えてあげる、それだけなのです。
でも、これだけたくさんあると、どれを選べばいいのかわからないし、みなさんの足のカタチもさまざまですので、ここでは一般的な考え方を紹介したいと思います。
偏平足対応の標準的なインソールは、舟状骨の位置にパットの頂点を設定しています。矯正や補正というよりもフィット感を重視する場合もこの位置が一般的です。
外反偏平足や外反母趾などのようによりサポートが必要な場合は、パットを後ろに設定します。ただし、この場合は矯正力が強い分、慣れるまでは違和感があると思います。
初めてインソールを使用される方がいきなり、矯正力が強いものを使用すると、土踏まずが靴ズレを起こしたり、思わぬところが痛くなりますので、あせらず徐々に矯正力の弱いものから強いものに変えていく方法をおすすめします。
選び方のコツ
感覚としては、
- 立っている時は、土踏まずに触っている程度。
- 歩いたときに、「ああ、なんとなく支えられているな」と感じるくらい。
のインソールから、試してみてください。
アーチを補正する効果は低いですが、どの位置がしっくりくるのか?どれくらいのアーチの盛り上がりがいいのか?が徐々に感覚的にわかってくると思います。それでも、どうしても矯正力が強いものを使用したい場合は、1日10分程度から徐々に使用時間を長くしていき、足をインソールにならす方法を実践してみてください。
また、このようなインソールを使用する際は、はじめは、従来通りのサイズの靴から試していただき、甲やつま先の圧迫が気になるようであれば、1サイズ大きめを選ぶようにするという順番で試してください。しつこいようですが、大き過ぎは禁物です。
外反偏平足
ランニングシューズの靴底に有効機能
インソールだけでなく、靴のアウトソール(靴底)にも同じような機能があります。ランニングをしている人ならご存知かもしれませんが、「オーバープロネーション」という表示がついているものがあります。「オーバープロネーション」は、踵の倒れを抑える機能がアウトソール(靴底)についているもの。ランニング時はもちろん、靴底の柔らかい初心者用の靴ならウォーキングにもおすすめです。外反偏平足の方はインソールと併用してみてください。
横アーチが崩れる開張足
意外と多い開張足
開張足とは、踏み付け部(MP部)の横アーチが崩れ、足の幅が広くなってしまう前足部の変形のこと。なかなか、聞きなれない言葉の割には意外と多い足の悩みです。主に、足趾間で横アーチのつながり強度が弱まったり、ハイヒールをはくことで、前足部に過度の負担をかけ続けることで引き起こされます。偏平足と開張足が同時に進行し続けると、外反母趾に発展したり、中足骨骨頭痛などの疼痛を生じることがあります。偏平足は重症化しない限りは痛みを感じないのに対して、開張足はわかりやすいサインがあります。
開張足のサイン
長時間歩いていると、人差し指・中指の付け根あたりが痛くなる
もしくは、タコ・マメがある
6cm以上のハイヒールを履かれている方に、私がいつもちょっと意地悪く質問しているのですが、40歳以上の半数近くの人は、痛みや違和感があると答えます。ヒールを履いて痛くなるのは、履いている靴のせいです。ただ、開張足気味になってくると、ヒール高を下げても、痛みやタコ・マメの症状が改善しにくくなります。
そして、50代後半になると、ヒールのない靴を履いても痛い、ヒールなんてもう冠婚葬祭だけだという状態になります。こうなると問題は、靴ではなく足のせいということになります。
いつも履いている靴が、最近、横幅がきつくなり痛くなることがある
偏平足で足長が長くなるのと同様に、開張足では足の幅が広がります。スニーカー等ではそれほど問題ありませんが、パンプスの場合、アーチが崩れることによって、踏み付け部の厚みが薄くなったうえに幅も広がるので、今までちょうと良かったお気に入りの靴も、「幅はきついし、前滑りする」 2重苦の靴に変わってしまいます。①も入れると3重苦ですね。きっと、みなさんこのあたりから靴選びに困り始めるんだろうなぁ。と、お話を聞くたびに思います。
開帳足用のインソール
開張足用のインソールは、踏み付け部(MP部)の後ろ側に菱形や楕円に近い、凸状のパットが配置されています。土踏まずのインソールは崩れている部分全体を支えていますが、開張足用のインソールは、踏み付け部(MP部)全体をあげてしまうと、歩行時に痛くなってしまうので、少し踵側に下げて使います。イメージとしては、タコやマメのある少し後ろ位のところです。
よく、ミュールなどでちょうどタコ・マメのあるところに開張足用パットを貼っている人がいますが、痛みが増すだけですので、ご注意ください。
AKAISHI公式通販コンテンツ
記事の内容で解決しない場合は、専門家に相談
足の専門家によるお悩み相談
フットケア相談室
専門家による足のお悩み相談を承っています。足や靴でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
※ご相談が集中した場合は回答にお時間をいただくことがございます。
※土日、祝祭日、年末年始、夏季期間は翌営業日以降の対応となりますのでご了承ください。
※お客様からお預かりする情報は、当社の個人情報保護方針よって適切な管理と保護に努めます。
※ご相談の内容によってはお返事に数日間をいただく場合がございます。