「靴の減り方」でわかる! あなたの〈足のトラブル〉解決編
この記事の監修者
株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士
靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会
以前お届けした『靴の減り方でわかる?あなたの〈足のトラブル〉診断』をご覧になった方から、
どういう対処をすれば良いの?
というご質問をたくさんいただきました。
そこで、今回は「問題のある靴底の減り方」に対する改善方法をアドバイスさせていただきます。
歩き癖による靴底の減り方
まずは前回のおさらいです。歩き方による「靴底の減り方」と「重心移動」は、だいたい6種類に分類されます。
図の②~⑥については、何らかの問題があります。
問題のある靴底の減り方:②~④の場合
減り方からわかること
② 歩幅が狭いつま先歩き。膝が伸びていない歩き方。
③ 膝が伸びておらず、指先でもしっかり蹴り出していない歩き方。
④ 蹴り出しがしっかりできていない為、足の前に振り出して歩いている。
②〜④に共通しているのは、「歩幅が狭い」ということです。これは、「どこかでラクをして歩いている」という結果が、靴底に現れているのだと思います。省エネ歩行することは悪いことではないのですが、どこかでラクをしている分、どこかに極端な負担がかかってしまうのも事実。ですから、バランスよく歩行筋を使うことが大切です。
解決策
では、どのように歩けばいいのかといいますと、単純に「いつもより大股で歩く」ことを意識してください。
上体を起こし、膝をまっすぐ伸ばし、しっかりと蹴り出しができていなければ、大股で歩くことができないので、自然と矯正されるはずです。しっかりと踵で着地し、つま先で蹴り出すことを意識して、大股で歩いてみましょう。
問題のある靴底の減り方:⑤~⑥の場合
減り方からわかること
⑤ X脚 や 内また歩き。
⑥ O脚 や 外また歩き。
⑤のように靴底の内側だけ減る人は、X脚の可能性があります。まっすぐ立った時に膝と膝はぴったりとつくのに、くるぶしとくるぶしはくっつかない。もしそうであれば、X脚の影響が靴底に現れているといえます。また、膝もくるぶしもぴったりつくのに、靴底の内側だけが減る人は、外反偏平足の影響も考えられます。
⑥のように靴底の外側だけが減るケースは、O脚に多く見られます。重心移動が外側に偏っているため、膝や骨盤に負担がかかりやすく、膝関節症の原因にもなります。
解決策
外側ウェッジの例
外側ウェッジとは、外側の部分(特に踵から~小指の付け根)が3~6mmほど内側より厚くなり、重心を内側へ誘導するように設計されたインソール。一般的な内外差は6mmを限度とし、それ以上の傾斜は、足関節を痛める原因となるので、基本的にはお勧めできません。(お医者様に相談してください。)また、違和感や足関節への負荷を考えると、いきなり6mmのものを使うより3mm→6mmと徐々にならしていく方が良いと思います。
(ロフト、東急ハンズなどでお求めになれます。)
イラストは、解りやすくするために図解を誇張してありますが、実際は、このインソールを付けることで、見た目が劇的にO脚改善されることは、まずありません。しかし、使ってみると、膝の内側にあったはずの痛みは軽減もしくは消失します。専門的に言うと、機能上のアライメントは改善される(膝関節が正常な形に近づく)ので、使い続けることで変形性膝関節症の原因が取り除かれているということです。(X脚用は内外逆。内側が厚くなる。)
お子様の場合
極端に靴底の減りが早い場合は、靴のサイズを確認してください。大きめのサイズを履いていませんか?
また、サイズは合っているのに踵部分が大きく合っていない靴、踵のカウンター(芯)が柔らかすぎる靴は、外反扁平を引き起こし、靴底の内側が極端に減ってくることもあるので、注意が必要です。
→ 正しいサイズ選び・靴選びをしてあげましょう。
お子様に限らず、靴は消耗品です。必ず、踵やつま先部分が減ってくるものです。
一番よくないのは、踵が減り過ぎて、明らかに足に悪影響を与えているのに、その靴を履き続けることです。
→ O脚やX脚を助長するだけなので、買い替えやリペアをしてください。
最後に
これはどこのサイトにも冗談のように書かれていることなのですが、
真理をついているのでご紹介したいと思います。
一番問題なのは、「靴底が減らない」こと
だそうです。
つまり、「外を出歩かない」ということ。
ニートを揶揄した冗談でまとめているサイトもみられますが、これは高齢者にも当てはまります。
「靴底が減る」ということは、自分でしっかり歩いて生活するバロメーターでもあるといえます。
靴底の減り方が多少おかしくても、自分の足で歩き続けることが健康寿命をのばす秘訣なのかも知れません。
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