急にスポーツを始める方はご用心!スポーツが原因の足トラブル「足底筋膜炎、有痛性外脛骨、アキレス腱炎、シンスプリント」
この記事の監修者
株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士
靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会
まだ油断はできませんがコロナ禍もやや収束の兆しが見えてきました。家に籠りがちだった生活を改め、スポーツなどで体力作りをと考えている方も多いと思います。
そこで、今回はスポーツが原因で起こる足のトラブルを紹介したいと思います。
足底腱膜炎
- 症状:朝、足の裏が痛い
- 該当するスポーツ:ランニング、長距離走
①症状
足底筋膜炎は、縦アーチが崩れて足底腱膜が過剰に伸ばされたり、歩行のたびに伸び縮みをさせられた靭帯に微細な断裂傷が付くことで、炎症がおこります。
朝起きて足裏の踵付近が「ピリッ」とか「ピーンッ」となるけど、出かける頃には気にならなくなる。そんな症状のある方は、足底筋膜炎になりはじめの可能性があります。
②痛む場所
足底腱膜炎の多くは、踵の付け根。まれに、足底筋膜の内側縁にも発症します。
③原因及び原因となる主な運動・スポーツ
足の指を上げると、土踏まずのところにピーンと張った筋が現れると思います。これが足底腱膜です。
なぜ指を上げると足底腱膜が張るのか? それは、足底腱膜が、踵と指の付け根のちょっと先の2箇所で付着している為、足の指を上げるとウインチのように巻き上げられ、足底腱膜にテンション(緊張)がかかってしまうのです(Windlass effect)。
歩行時にも同様の動きが行われます。これが、蹴りだすときの推進力になるのですが、同時に足底腱膜に負担をかけてしまう瞬間でもあるのです。
ランニングや長距離のウォーキングでは、これらが繰り返されることにより負担がかかり、足底筋膜炎を引き起こします。
④対策、予防
アーチの崩れを予防するポイント。
足底腱膜の伸びる量を減らすために
- 適度な運動により、筋肉のボリュームを維持
- 過度な体重の増減(主に増加)に注意
- 大きめのサイズや、ゆったりしすぎの靴を履かないでください
- 靴の紐はしっかり締めること
足底腱膜が伸びても症状が出ない柔軟性を身につける
- ストレッチで足底腱膜や腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)を柔軟に保ちます
⑤靴やインソールでの対策
インソールの選び方
1.内側縦アーチを支えるインソールを使用
※スポーツ時は、スポーツ用に開発されたもの以外は使用しないでください。
※スポーツ後のケアとして、普段履きで使用する際は通常通りご使用できます。
内側縦アーチをサポートするインソールを使用して、内反偏平足を予防することで、間接的にシンスプリントの予防・軽減をすることも可能です。
とはいえ、スポーツの際は通常の歩行時に比べ、荷重の負荷が激しく、足のアーチもそれだけ大きく変形を繰り返します。
通常の歩行用に設計されたインソールをスポーツ用に使用すると、足底筋膜や横アーチを逆に痛めてしまうことがありますので、スポーツ時はスポーツ用。スポーツ後の普段履きでは歩行用のインソール。というように、インソールを使い分けてください。
2.底の薄いものは避ける
3.前よりも踵部が1cmから2.5cm位高くなっているもの
有痛性外脛骨
- 症状:土踏まずあたり内側の骨が出っ張って痛い
- 該当するスポーツ:スパイクなど硬めの靴を履く競技
①症状
スポーツ活動の盛んな10~15歳の思春期に発症することが多いですが、弊社では中高年の方からこのトラブルの相談を受けることがしばしばあります。
外脛骨(出っ張った骨)があること自体は異常ではありません。約5~14%の人にあるとされています。
しかし、舟状骨の隣にできてしまった外脛骨が痛くなってしまうことがあり、これを有痛性外脛骨といいます。急激な運動負荷や外傷をきっかけに、後脛骨筋腱による外脛骨部への牽引力が加わると痛みが生じます。
外反偏平足などを併発していることがあります。
②痛む場所
外脛骨の分類
1型 | 後脛骨筋内に種子骨として存在する |
---|---|
Ⅱ型 | 舟状骨粗面部と繊維的に結合している |
Ⅲ型 | 舟状骨と骨性癒合している |
このうち、II型が痛みの原因になることが圧倒的に多いです。
③原因及び原因となる主な運動・スポーツ
スパイクなどのきつめ、硬めの靴を履いてするスポーツ / サッカー、陸上、バスケットボール、ラグビー、バレーボール等 また中高年の方では長時間、動き回らなければならないお仕事の方によく見られます。
④対策、予防
有痛性外脛骨炎の症状を持つ人は、あわせて偏平足(内側縦アーチの低下)となり、踵が内側に倒れやすい傾向があります。テーピング等で踵の内倒れを防ぎましょう。
⑤靴やインソールでの対策
インソールの選び方
1.内側縦アーチを支えるインソールを使用
※スポーツ時は、スポーツ用に開発されたもの以外は使用しないでください。
※スポーツ後のケアとして、普段履きで使用する際は通常通りご使用できます。
内側縦アーチをサポートするインソールを使用して、内反偏平足を予防することで、間接的にシンスプリントの予防・軽減をすることも可能です。
とはいえ、スポーツの際は通常の歩行時に比べ、荷重の負荷が激しく、足のアーチもそれだけ大きく変形を繰り返します。
通常の歩行用に設計されたインソールをスポーツ用に使用すると、足底筋膜や横アーチを逆に痛めてしまうことがありますので、スポーツ時はスポーツ用。スポーツ後の普段履きでは歩行用のインソール。というように、インソールを使い分けてください。
アキレス腱炎
- 症状:アキレス腱のあたりが痛い
- 該当するスポーツ:ランニング、サッカー、バレー、バスケット
①症状
アキレス腱は、人の体の中で最も大きく強靭な腱で、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)と踵の骨(踵骨)をつなぐワイヤーのような役割をしています。主に、歩行や走行、跳躍の際にふくらはぎの筋肉を収縮させることで踵の骨を引張り、推進力を足裏へ伝達する、非常に重要な靭帯です。これほど重要な靭帯にも関わらず、腱の付着部より約2~6cmの間で毛細血管がまばらなところがあり、一度、痛めてしまうとなかなか治りにくい部位でもあります。
②原因及び原因となる主な運動・スポーツ
主にスポーツが原因 / ランニング・バスケットボール・サッカー・バレーボール
なりやすい方、その状況
- 1.男性ランナーに多く発症し、寒冷環境における発生率が高い
- 2.加齢 / 急激な体重の増加/オーバーユース
- 3.ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の柔軟性が低下する
- 4.踵骨の 内反位・外反位 / 距骨の過回内
- 5.間違ったランニングフォーム
※最近ではコロナ禍による運動不足解消として急に運動を始められる方にも見られます。
アキレス腱炎の方にみられる走りの特徴
- ① 全般:骨盤の過度な前後傾/胸椎後弯 (猫背)
- ② 踵の接地:膝過屈曲 / 足部過回内(オーバープロネーション)
- ③ 立脚中期:膝の内外反(O脚)
- ④ 蹴り出し時:骨盤後傾 過度の足関節底屈
まず、骨盤を前傾しすぎるとお尻が突き出たような姿勢になり腰に負担がかかります。
それにより足が地面から受ける衝撃が通常よりも強くなり、オーバープロネーションの原因になってしまいます。
疲れてくるとこういう姿勢になりがちですが、骨盤が後傾になると、猫背になり膝も伸びず踵の接地後に必要以上にブレーキがかかってしまいます。
その分、足先(足関節)で蹴り出そうとするのですが、これがアキレス腱に負担がかかってしまう要因の一つです。
③対策、予防
正しい姿勢で走ろう!歩こう!
猫背にならず、膝をしっかり伸ばし、重心を高く、足先だけでなく脚全体で歩くよう心掛けてください。
ランニングに限らず日常の歩行でも同じです。
ちなみにアキレス腱が痛くてどうしようもないときは、足先を使わず、股関節や骨盤を大きく動かすことで膝を前に運び歩いていませんか?
痛いときに行っている動作は、裏を返すと痛くならないようにするための動作でもあるので、再発を防ぐために参考にしてみてください。
④靴やインソールでの対策
ヒールが低く平らなものより、2~3cm位ヒールのほうが高い靴を履くと痛みが抑えられるようです。ただし、3cm以上のヒールでは逆効果になることがあるのでご注意を。
大きすぎるもの、サイズの合わないものは厳禁です。
シンスプリント
- 症状:脛のあたりが痛い
- 該当するスポーツ:ランニング、エアロビクス
①症状
シンスプリントは、「脛骨後内側縁遠位2/3~1/3に起こる骨膜炎」と定義されます。簡単に言うと、脛(スネ)の内側に起こる骨膜炎で、過剰な運動に伴って発生することがある痛みです。
また、単なる骨膜の炎症ではなく、コンパートメント症候群を伴っている場合があり、慢性化することもあります。最悪の場合、後脛骨筋の壊死を引き起こしかねないので、注意が必要です。
コンパートメント症候群って?
通常、炎症を起こした部位は腫れ、体積が増えます。
しかし、後脛骨筋などの中心付近(深部)の筋が炎症を起こすと、膨らむスペースがなく、血管が圧迫され血流が減少したり、途絶えてしまったりします。血流が減少すると障害を起こした後脛骨筋に酸素や栄養が十分に供給されなくなるの、治癒が遅くなり慢性化します。
②痛む場所
- A:前脛骨筋の起始部(スネの上)
- B:ヒラメ筋の起始部(ふくらはぎの内側)
- C:後脛骨筋
③原因及び原因となる主な運動・スポーツ
シンスプリントの3つのタイプ
タイプⅠ A部が痛むタイプ |
踵から着地することに起因。 ランニング、ジョギングで起こりやすい。 |
---|---|
タイプⅡ Bが痛むタイプ |
踵接地や蹴り出し時の負荷量が増えることが原因。 同じくランニング、ジョギングで起こりやすい |
タイプⅢ Cが痛むタイプ |
つま先から接地することが多い、 エアロビクスのような運動で発生することが多い。 足関節を底屈させたまま着地する際に重要になるのは、 後脛骨筋なので負荷化がかかりやすい |
どのタイプでも、一番の原因となるのは、オーバーユースです。
④対策、予防
シンスプリント発生の危険因子は、オーバーウェイト、内側縦アーチの低下があげられます。足底腱膜炎と同じような因子ですね。
足部に負担をかけないという意味では、適度の体重と筋力を維持し、足のアーチの低下を予防することが大切です。
シンスプリントに対して、運動前後のストレッチの効果は、残念ながら否定されています。しかし、その他の障害の予防には効果がありますので、ストレッチは忘れず行ってください。
⑤靴やインソールでの対策
靴の選び方
1.踵が内倒れしないように、ヒールカップ(カウンター)のしっかりしたもの
2.踵部分のクッション性が良いもの
3.内側縦アーチを支えるインソールを使用
※スポーツ時は、スポーツ用に開発されたもの以外は使用しないでください。
※スポーツ後のケアとして、普段履きで使用する際は通常通りご使用できます。
内側縦アーチをサポートするインソールを使用して、内反偏平足を予防することで、間接的にシンスプリントの予防・軽減をすることも可能です。
とはいえ、スポーツの際は通常の歩行時に比べ、荷重の負荷が激しく、足のアーチもそれだけ大きく変形を繰り返します。
通常の歩行用に設計されたインソールをスポーツ用に使用すると、足底筋膜や横アーチを逆に痛めてしまうことがありますので、スポーツ時はスポーツ用。スポーツ後の普段履きでは歩行用のインソール。というように、インソールを使い分けてください。
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