「足の指が痛い!」『原因』と『場所』から分類します
この記事の監修者
株式会社AKAISHI 代表取締役 赤石恒一 / 保健学博士
靴医学の権威、新潟医療福祉大学大学院の阿部薫教授に師事。専門分野は保健学で、足の悩みの改善や、靴の機能向上のための研究をしている。
【所属学会】日本整形靴技術協会(副会長)、日本靴医学会
足指が痛い!その原因は?
足の痛みの多くは足のアーチの崩れからくるものが多いのですが、それ以外にも足指の痛みの原因はさまざまです。靴と足との相性によるものや、スポーツによるもの、また、痛風と強剛母趾のように見極めが紛らわしいものもあります。
そこで、原因と痛む場所について解説していきます。あなたの足のトラブルにあてはまるものはありますか?
足指の痛みの原因はさまざま
1足指の痛みの分類:症状やどうして起こるのかというしくみから大まかに分類
足のアーチの崩れによるもの
外反母趾・バニオン・内反小趾・中足骨骨頭痛
「長時間歩行や履いている靴によって痛みが起こりやすく、ジンジン・ピリピリする痛み」
スポーツや過度の負担によるもの
強剛母趾・種子骨障害・フライバーグ亀裂骨折(ケーラー病)
「骨壊死や骨変形によるジンジンという圧痛・ズキズキとうずくような疼痛・腫れなど」
疾患によるもの
痛風
「痛風発作による激痛。24時間以内に痛みのピーク~数日で痛みが消失していく」
リウマチ等の自己免疫疾患
「慢性的な炎症による関節痛」
その他
巻き爪[圧痛や陥入爪によるズキズキとした疼痛]
痛むのはどこですか?
2 足指の痛みの分類:痛む場所別に分類
A:外反母趾(バニオン含む)
外反母趾の痛みは主に2通りあります。
1つ目は、親指の側面が腫れあがるように痛くなる場合。コブのような滑液包「バニオン」を伴う痛み。
2つ目は、親指の関節を曲げるだけで痛むもの。
前者は靴にバニオンがあたることによる圧痛で、後者は、母趾の関節がずれてしまっているため、関節の曲げ伸ばしをするだけで痛みを生じてしまいます。
→詳しい解説・改善方法
B:内反小趾
内反小趾は、外反母趾の小指版。
外反母趾のような痛みを生じるケースは少なく、どちらかというと、外反母趾や開張足で足幅が広がってしまったことにより窮屈になり、靴の中で小指が圧迫されて起こる痛みです。
C:強剛母趾(きょうごうぼし)
強剛母趾とは、親指の関節の働きが悪くなることをいいます。多くは、重度の変形性関節症により、足指の関節上部に骨棘と呼ばれる骨の突起ができることでおきる症状です。一般的に、年齢を重ねるごとに関節可動域(動く範囲)が制限されるため、強剛母趾の場合は地面から指を反らした時に痛みを生じます。
D:種子骨障害
種子骨は、親指付け根の底面に2つある骨で、足指の力をより発揮させるための役割を持った小さな骨です。(膝のお皿のようなもの)
この骨は足の一番底面にあるので、地面へ踏み込んだ時やジャンプなどの衝撃により、周囲が炎症を起こします。症状が進行すると種子骨への血行が乏しくなり、無痛性の骨壊死を起こしてしまいます。主に、バスケット・陸上・サッカー・剣道・柔道など、踏み込みに負荷がかかるスポーツで起きやすいとされています。
E:フライバーグ亀裂骨折ケーラー病
ケーラー病には舟状骨に発生する第1ケーラー病と、中足骨骨頭部指の付け根に発生する第2ケーラー病がありますが、足指の痛みに起因するものは第2ケーラー病です。
第2趾人差し指によく起こり、12~18歳の女子に多いのが特徴です。蹴り出すときに、疼痛・圧痛・腫れを生じるため、無意識のうちに患部への荷重を避けた歩き方になります。
原因として考えられるのは、不適合な靴を履いて足底部を絶えず圧迫し、慢性的な刺激が繰り返されることです。靴底の薄い靴で、硬いアスファルトの上を長時間歩くことで誘発されます。
■中足骨疲労骨折やリウマチ性関節炎と症状が似ているので、痛みが激しい場合は病院でのレントゲン検査をお勧めします。
F:中足骨骨頭痛
中足骨骨頭痛の場合はどちらかというと足指の痛みというより、指の付け根の痛みに該当しますが、患部から指先にかけて、ジンジンとした痛みがあれば、恐らく中足骨骨頭痛です。
詳しくはこちらをご参照下さい。
G:痛風
痛風は男性に多く、尿酸値が高い人は注意が必要です。
結晶化した尿酸が関節にたまることで起こります。夜、突然、症状が現れることが多く、激痛で足が動かせないほどの痛みに襲われ、患部が腫れあがります。この痛みは、1週間程度で良くなりますが、そのまま放置していると再発を繰り返し、徐々に再発との間隔も短くなってきます。初めての発作では親指の付け根に痛みが起こることが多いようです。足の病気というよりは生活習慣病です。ビール好きのお父さんは注意が必要です。
H:リウマチ(関節リウマチ)
痛風が男性に多いのに対して、関節リウマチは30~50代の女性に多い病気です。
痛み方も突然ではなく鈍い痛みから進行していきます。発症部位も、1個所ではなく、数か所の関節に広がっていきます。
関節が炎症を起こしているため、朝起きた時に手足にこわばりがあったり、関節が動かしにくくなることで全身の倦怠感を覚えたりします。
関節リウマチは自己免疫疾患のひとつで、自身の免疫システムが関節の炎症を引き起こし、骨や軟骨を破壊していくので、早期に発見・治療し、関節破壊の進行を抑えることが重要です。とにかく、疑われる症状がある場合は、リウマチ専門のお医者様に早めに相談することをお勧めします。
I:巻き爪
巻き爪は、爪の切り方や先の細すぎる靴・ヒールの高い靴で起こるとされています。主に母趾に多く、ただ巻いている状態を巻き爪。炎症性の発赤、患部が腫れる状態になると陥入爪(第1段階)。炎症性分泌液を出すようになり、さらに肉芽組織が形成され始める(第2〜3段階)へと進行していきます。
よく第1段階でだましだましヒールを履いている人がいますが、早めの治療が回復を早める手助けとなりますので、気になり出したらすぐに医者へ。
※ちなみに、巻き爪は疾患名ではありませんが、陥入爪は立派な疾患名です。
似ていても違う、痛みの原因
3 紛らわしい痛みの見分け方
A:外反母趾(バニオン) と 強剛母趾
外反母趾の痛みは、母趾の関節をどの方向に曲げても痛みはありますが、強剛母趾の場合は、背屈(地面から浮かせる)方向へ曲げた場合に痛みが起きます。また、外反母趾でバニオン(滑液包のコブ)がある場合は、靴にあたることで圧痛や腫れが起こることがあります。
B:フライバーグ亀裂骨折(ケーラー病)と中足骨骨頭痛
痛みを感じる部位は似ていますが、中足骨骨頭痛は、人差し指の付け根あたりにタコやマメがある場合が多く、タコやマメを押すとジンジン・ピリピリを神経性の痛みがあります。対して、フライバーグ亀裂骨折(ケーラー病)は発赤、腫れ等の炎症症状を伴ない、突然に痛みが発生します。稀に、中足骨骨頭痛が慢性化してしまうような靴底の薄い靴やヒール靴を履き続けることで、中足骨骨頭痛からフライバーグ亀裂骨折(ケーラー病)へ重篤化するケースもあるようです。
また、これらA、Bと混同しがちな、痛風発作や関節リウマチですが、尿酸値が高い男性が、夜中に、指の付け根が痛くなる場合は、痛風発作。
30~50代女性が、徐々に全身の関節の痛みが慢性化していくような場合は、関節リウマチを疑い、直ちに医師に相談してください。
特に、関節リウマチは、関節破壊による足趾変形がおこる前に、治療を受けることである程度の改善も期待できますので、すぐに専門医を受診しましょう。
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