第1回 外反母趾対策について
(阿部薫教授)
皆さん、こんにちは。今日は外反母趾についてお話します。
まずは母趾や小指が当たらないように靴の幅のサイズ選びが重要です。靴にはワイズと呼ばれる幅のサイズがあります。自分の足幅に合うワイズを選び、母趾や小指が靴の中で当たらないものを選びます。
また、靴の幅が狭いのが嫌だからといって大きめのサイズを履くのもよくありません。足が靴の先端までずれてしまい母趾や小指が圧迫を受けてしまうからです。
靴のタイプでいえば、つま先の母趾側が長くなっているオブリーク形状のウォーキングシューズがおすすめです。
― ヒールの高さについて
次にヒールの高さです。ヒールが高いと体重がつま先にかかってしまい、足の指に負担が大きくかかります。また、ヒールが高い靴は滑り台のように足が前に出るため、母趾が靴の先端で圧迫されることになります。したがって、ヒールの高さは3cmまでを目安とするとよいでしょう。
― 靴選びのポイント
次に靴選びにおける重要なポイント3つを説明します。
1つ目は横アーチを支える形状です。横アーチと呼ばれる骨格が崩れることで、足幅が広がり母趾が曲がりやすくなりますので、ここを持ち上げることが重要です。
2つ目は土踏まずのアーチを支える形状です。母趾は足の内側にあるため、多くの場合、土踏まずのアーチが崩れて母趾側に体重がかかりやすくなっているので、土踏まずのアーチを支えることで母趾にかかった負担を軽くします。
3つ目は足指の付け根部分のクッションです。外反母趾になると足指の付け根部分に負担がかかりやすくなり、痛みが生じる場合があります。したがって、この付け根部分はクッション性のある素材でサポートされていることが望ましいです。
― まとめ
正しい靴選びをすることで、外反母趾の負担を軽くすることが期待できます。また、外反母趾の予防にも役立ちます。
【阿部薫 教授 プロフィール】
新潟医療福祉大学 教授
【専門分野】靴医学、靴人間科学、運動機能解剖学、歩行分析学、義肢装具学
【職歴】現在:新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健学専攻義肢装具自立支援学分野長(博士後期課程・修士課程)/リハビリテーション部義肢装具自立支援学科・教授。2009年より同大学院にて、靴とヒトの関係を科学的に研究する「靴人間科学」を担当している。
【社会活動】日本整形靴技術協会会長・理事・編集委員長、日本靴医学会理事・評議員、足と靴と健康協議会理事、台灣足鞋健康協會榮譽顧問