第3回 膝のお悩み対策
(阿部薫教授)
皆さん、こんにちは。今日は膝に優しい靴の選び方についてお話しいたします。
― 靴選びのポイント
まずは基本的なポイントから見ていきましょう。
1つ目はサイズが合っていることです。大きめのサイズを履く方が多く見られますが、この状態ですと靴の中で足が動いてしまい、歩行の安定や効率が損なわれます。
2つ目は安定感があることです。ヒールが高いほどかかとが不安定になりがちです。かかとの不安定さが膝に伝わると更に大きな不安定さにつながります。また、かかとの芯がしっかりしていない場合、かかとが靴の中で安定せず不安定感が残ります。
3つ目は適切なクッション性があることです。靴のクッション性が不足しているとかかとが着地した時の衝撃が膝に伝わりやすくなります。逆に厚底の柔らかいクッションですとかかとがぐらついてしまいます。
― インソール選びのポイント
次に専門的なポイントを見ていきましょう。
膝にお悩みのある方にはO脚傾向が見られます。O脚は膝関節の内側に負担がかかりやすく、このため内側の軟骨が摩耗します。そこで、かかとの外側を上げることでひざ下の角度を変え、膝の負担を減らす方法があります。
変形性膝関節症の方には、医師が処方する足底板でもこの方法が採用されています。O脚に対する靴やインソールには市販されているものもありますが、常に膝に痛みのある方はまずは医療機関を受診し、医師に相談した上で使用されることをお勧めします。
― まとめ
変形性膝関節症への対処は早い段階で始めることが効果的です。
靴の改善だけで解決するものではありませんが膝への負担を軽減する靴を履くことで日常の歩行が楽になります。膝に違和感があれば早めに対処を始めることをお勧めいたします。
【阿部薫 教授 プロフィール】
新潟医療福祉大学 教授
【専門分野】靴医学、靴人間科学、運動機能解剖学、歩行分析学、義肢装具学
【職歴】現在:新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健学専攻義肢装具自立支援学分野長(博士後期課程・修士課程)/リハビリテーション部義肢装具自立支援学科・教授。2009年より同大学院にて、靴とヒトの関係を科学的に研究する「靴人間科学」を担当している。
【社会活動】日本整形靴技術協会会長・理事・編集委員長、日本靴医学会理事・評議員、足と靴と健康協議会理事、台灣足鞋健康協會榮譽顧問